「うつ病とサッカー 元ドイツ代表GKロベルト・エンケの隠された闘いの記録」を読んで
皆さんは有名人に向かって暴言を吐いたことがあるでしょうか?
遠い存在であるがゆえに気軽にマイナスな意見を言いがちです。彼らは自分と同
じ生きている人間ですので、悪口を言われれば傷つきます。
じゃあなぜそんなに軽く悪口を言ってしまうのか?
答えは簡単です。伝わるとは思っていないからです。
自分一人の意見、考えが有名人に届かず、影響を与えないと思っているのです。
確かに一人だとそこまで影響はでないです。ただそれが何十人、何百人、何千人
と増えていったらどうでしょう。確実に届きます。一人が批判的な意見を書け
ば、「俺(私)も同じ考えだ」、「俺(私)もそう思った」と同調する人がどん
どん増えていきます。そうなっていくうちに有名人にまで届いてしまうのです。
自分はそんな意見を言ったことがないという人もいるかも知れません。
ただこの本を読むと人一倍相手のことを考えて行動することができるようになります。
だからこの本はサッカー観戦者や芸能人のファンに読んでもらいたいのはもちろん、欲を言えば日本人全員に読んで欲しい本です。
概要
この本は元ドイツ代表のゴールキーパー、ロベルト・エンケが産まれてから亡く
なるまでを本人が書いた日記を元に書いた本です。
この本のキーワードは「うつ病」です。愛する娘を病気で失ってしまったが、
2008年にはEUROというとても大きい大会でドイツ代表の正ゴールキーパーにな
るなど、周りから順風満帆に見えたロベルトがうつ病に侵され最終的には32歳と
いう若さで自ら命を絶ってしまうという話です。
彼は1977年8月24日に産まれ、2009年に亡くなりました。1977年に産まれた有名
なサッ
カー選手は中田英寿選手と戸田和幸選手です。この2人と同級生だという事実は
とても私を驚かせました。この本が昔では無く今を語っていることがわかりま
す。
サッカー好きじゃなくても内容はわかるのか?
全然大丈夫です。サッカーに関しても専門的なことはないとは言い切れません
が、知らなくてもわかるようになっています。
確かにサッカーを前もって知っていたらより理解できるかもしれません。ただ、
あくまでこの本のテーマは「うつ病」です。サッカーがわからなくても全然問題
ありません。
うつ病ってそんなに重い病気なの?
うつ病というのは気分障害といわれる中の一つで、愛する人の死といった心理的
ストレスにより発症する病気です。生涯で全人口の10%がかかるような病気で
す。男性より女性の方がかかる割合は高いです。
そしてうつ病は再発しやすい病気で、完全に治るのは難しいといわれています。
症状としては
- 憂うつ
- 不眠
- 食欲低下
- 疲れやすい などです。
とても症状が多い病気です。
この本で一番重要なことは、うつ病を受け入れられる世の中ではなかったという
ことです。ロベルトは最後までサポーターに自分がうつ病だと公開しないまま生
涯を終えました。うつ病は病気であり、恥ずかしいものではありません。それ
を、周りの環境、世界が認識することが出来れば、うつ病の早期発見、改善い臨
めるはずです。
最後に重要な情報を一つ教えます。現役サッカー選手の38%、そして、元選手の
35%がうつ病を患っています。そして現在日本で活躍しているイニエスタ選手も
うつ病だと公表しています。
この事実を頭に入れるだけでサッカー観戦はもちろん日常が変わってきます。
この本はとても分厚く、人によっては何日間もかかるかもしれません。ただこの
本は人生観を変える一冊になります。ぜひ読んでみてください。
うつ病とサッカー 元ドイツ代表GKロベルト・エンケの隠された闘いの記録
- 作者: ロナルド・レング,木村浩嗣
- 出版社/メーカー: ソル・メディア
- 発売日: 2018/12/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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